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プリント基板とは

目次

基板に関してリサーチを始めると、特に頻繁に目にする「プリント基板」という文字。ここでは、基板初心者に向け、プリント基板の概要や役割・機能、種類、プリント基板が普及した理由などについて詳しく解説します。

プリント基板(PCB)とは?

プリント基板とは、電化製品を分解したときに内部に収められている緑色の板のこと。細かい電子部品や線が貼り付けられている、あの一枚の板のことです。昔、学校の技術の時間に見たことがある、という人も多いのではないでしょうか?厳密には、電子部品が搭載されていない状態の板と、電子部品が取り付けられた電子回路の状態の板の両方を指し、プリント基板と言います。

プリント基板が実用化され始めたのは1950年ごろ。それ以前は大型で非効率なシステムによって同じ機能を実現していましたが、プリント基板の実用化により、電化製品の製造が飛躍的に向上しました。

今やプリント基板がなければ、世の中にある多くの製品が動きません。自動車、航空機、電車、産業用ロボット、医療機器、各種デバイスなど、電気を使用して動作する製品の多くには、プリント基板が搭載されています。プリント基板が人類の生活を大幅に豊かにした、と言っても過言ではありません。

プリント基板の役割・機能

当然ですが、プリント基板の役割は一つではありません。搭載された電子部品の種類や組み合わせ等により、細かく分ければ無限の役割があると言っても良いでしょう。

ただし、プリント基板のベースとなる役割は、無限ではなく2種類しかありません。「信号を伝える役割」と「電力を送る役割」の2種類です。

信号を伝える役割

プリント基板上の電子回路が正しく働くためには、電子部品同士が正しく信号を伝え合わなければなりません。プリント基板の大きな役割の一つが、それら電子部品の各種信号を伝えることになります。

電力を送る役割

プリント基板を搭載した電化製品を目的通りに動作させるため、また、電子部品同士の信号の伝達をサポートするためには、それら動力の源となる電力が必要です。プリント基板は、製品を目的通りに動作させるための電力を送る役割も担っています。

なお、上の2つの役割の他にも、特殊な例として「アンテナ」の役割を持つプリント基板があります。高周波数回路を形成してアンテナとして利用する、というものです。

プリント基板が広く使われている理由

様々な製品において不可欠な存在となっているプリント基板。なぜ、プリント基板はここまで広く使用されるようになったのでしょう?プリント基板のメリットに絡めながら、これほどまでに広く使用されるようになった理由を考察してみます。

小型化する製品に対応できたから

製品の機能が高性能であればあるほど、その製品の中には、多くの電子部品を搭載しなければなりません。ところが電子部品を多く搭載すると、当然ながら製品は大型化します。

この「製品の高性能化」と「製品の大型化」という、相反する課題を同時に解決させたのが、他でもないプリント基板でした。小さな一枚の板の上に様々な電子部品をまとめられるプリント基板は、世の中にある多くの電化製品の小型化に貢献しています。

製品の大量生産に適していたから

仮に、プリント基板がないと仮定して、各種の電化製品を作ることをイメージしてみてください。その場合、電化製品の内部に搭載される多くの電子部品は、一つ一つ手作業で取り付けられることになります。手作業で行う以上、生産効率が下がります。ミスも続出することでしょう。

一方でプリント基板を使った場合、決まった場所に決まった部品が取り付けられた基板を製品内に装着すれるだけなので、生産効率は大幅に向上。ミスの発生率も下がることから、高性能な製品の大量生産が実現します。

人件費を始めとしたコスト削減に貢献できたから

電化製品の心臓部とも言えるプリント基板ですが、製品に搭載する工程は単純なので、人間ではなく産業用ロボットが担うことが可能。結果として、人件費を始めとした製造工場のコスト削減に大きく貢献します。

デザイン性を優先したい製品にも対応できたから

プリント基板には様々な種類がありますが、それらの中にフレキシブル基板があります。

詳しくは後述しますが、フレキシブル基板とは、折ったり曲げたりできる柔軟性あるプリント基板のこと。形を変えることができる基板なので、小さな製品の可動部にも内蔵させることが可能です。

このフレキシブル基板の登場により、製品のデザイン段階で、フレキシブル基板の内蔵部分に過度な配慮をする必要がなくなりました。言い換えれば、フレキシブル基板の登場で、デザイン重視の製品を作れるようになった、ということです。

プリント基板の種類

用途や役割に応じて多くの種類があるプリント基板ですが、ここでは、主なプリント基板の種類を8つほど見ておきましょう。

リジッド基板

リジッド基板とは、銅などの硬い材料で作られたプリント基板のこと。柔軟性のあるフレキシブル基板とは、ちょうど反対のタイプのプリント基板と認識されています。

硬質基板と呼ばれることもあるリジッド基板ですが、電子部品の実装がしやすいことがメリットとされ、広く様々な製品に使用されています。

フレキシブル基板

硬い素材で作られたリジッド基板に対し、プラスチックフィルムなどの柔軟性ある素材で作られたプリント基板を、一般にフレキシブル基板と呼びます。

フレキシブル基板の大きな特徴は、折ったり曲げたりできる点。製品内部の形状に応じて様々な形に変化させることができるため、上述の通り、デザイン重視の製品の生産に大きく貢献しています。

フレキシブル基板とは?
特徴と対応メーカー一覧

リジッドフレキシブル基板

リジッド基板とフレキシブル基板をハイブリッドさせたプリント基板が、リジッドフレキシブル基板。硬さと柔軟性を併せ持つため、製品への実装という点で、非常に汎用性の高いプリント基板となります。ただし、ややサイズが大きくなってしまうというデメリットもある点に要注意。

リジッドフレキシブル基板
(リジッドFPC)とは?
特徴と対応メーカー一覧

ビルドアップ基板

1980年代の高性能コンピュータの部品として、一般的に使用されていたプリント基板がブルドアップ基板。リジッド基板の一種ですが、「絶縁層を作って表面に導体パターンを作る作業」と「絶縁層に小さな穴を空けてメッキで接続する作業」を反復することで、多重層を実現したプリント基板になります。

ビルドアップ基板とは?
特徴と対応メーカー一覧

片面基板

基板の片面のみに電子部品を搭載したリジッド基板を、片面基板と言います。複雑・高度な電子回路には向いていませんが、コストが安く済むというメリットがあります。

両面基板

基板の両面に電子部品を搭載したリジッド基板を、両面基板と言います。片面基板に比べると複雑・高度な電子回路に向いているものの、コストが高くなるというデメリットがあります。

多層基板

基板の内部にも配線できる層を作り、接着シート(プリプレグ)で必要な数の層を接着させて、最終的に1枚に仕上げたプリント基板を多層基板と言います。

厚銅基板(大電流基板)

大電流を扱う製品に搭載されるプリント基板。主に、工場の配電盤や工作機械、電車、自動車、産業用ロボットなどに搭載されています。

まとめ

電化製品の大半において、ほぼ例外なく搭載されているプリント基板。もはや現代社会のインフラの一つと言っても良いほど、極めて重要な役割を担っているわけですが、その一方でプリント基板は、決して製造が難しいわけではありません。また、極端に製造コストが高いわけでもありません。

時代のニーズや進化に合わせ、これからもますますプリント基板は変化・進化を続けていくことでしょう。

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