基板のレジストとは基板の表面を染めている緑色のインクであり、回路を保護したり不要なはんだが実装時に付着したりしないようにカバーするために用いられます。ここでは基板のレジストについて詳しく解説しています。
基板の「レジスト」は、基板の表面で緑色になっている部分に使われているグリーンのインクです。
基板はそもそも金属銅の色などによって茶色や銅色であり、レジストで処理することで一般的にイメージされるグリーンの基板となっています。
レジストを行う目的は、回路パターンを湿気やホコリから保護したり、部品実装時にはんだ作業をスムーズに行ったりするためとなっています。
なお、基板のレジストは他にも「ソルダーレジスト」や「はんだレジスト」、「はんだマスク」などとも呼ばれ、英語表記では「Solder Mask」となっていることもポイントです。
レジスト前の基板は回路パターンなどが露出した状態でもあり、また溶けたはんだを載せるとどんどん流れていく状態でもあります。当然ながら、精密作業となるはんだ付けにおいて不要な部分にはんだが付着すると、基板が正常に機能しなくなってしまいます。
一方、レジストにははんだを弾く性質があるため、基板にレジストを施すことではんだをつけるべき部分を制限させて作業を効率化することが可能です。
レジストを塗ることで、回路パターンが空気や湿気に触れる範囲を最小限に抑えることができます。
回路パターンは金属であり、酸化や腐食といった影響を無視できないからこそ、レジストによって適切に保護することが必要です。
上述したように、レジストが塗布されていない基板は回路パターンがむき出しになっている状態です。そのため、例えば通電状態でテスターやオシロスコープなどを使って電圧チェックといったテストを行う際、もしもテスターやプローブの端子がパターンの間をブリッジしてしまうと、ショートして基板が破損してしまうリスクも生じます。
レジストは基板の安全を確保するために重要です。
一般的に想像される基板の色として緑が挙げられるように、レジストの色はグリーンが主流です。しかし、レジストの色は他に白や黒、青、赤など様々なカラーバリエーションがあり、色による性能面の差はほとんどありません。
緑色の基板が多い理由は、単純に緑色のインク・塗料が最も普及しているからです。
緑色の塗料は様々な場所で活用されるため汎用性が高くなっており、流通量も多くなっています。そのため、比較的低コストで用意することが可能であり、緑のレジストは基板製造においてもコストを抑制する上で効果的です。
また、流通量が多いからこそ製品在庫も豊富になっており、すぐに納品できることから工期や納期を短縮できることもポイントです。
基本的に、レジストではインクの色による機能差はほとんどありません。しかし、あえて基板の色を変えたい場合やその他の必要性がある場合、それぞれの条件に合わせて他のカラーのレジストが採用されることもあります。
基板の色を変えることで、容易に基板を区別して分類することが可能です。また、プリント基板では光学式自動外観検査装置(AOI)の他にも作業員の目視で不良品を検出しますが、白や黒といった特定の基板色だと異物の混入などを見落としやすいため、状況に合わせた色を選択します。
LEDや光センサーを活用した基板においては、光の反射性に優れた白色をレジストとして利用することがあります。また、受光センサーを備えた基板に関しては、不要な光の透過や反射を抑制するために黒色のレジストが採用されることもあるでしょう。
レジストの色を選択することで、基板性能を向上させられることは重要です。
基板にどのような回路パターンが採用されているのか、知的財産を保護する目的やデザイン面を考慮して隠したいこともあるでしょう。そのため、回路パターンが透けて見えやすい緑色のレジストではなく、回路パターンを見えにくくするための色のレジストを採用することがあります。
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