このページでは、基板の試作や製作において重要となる表面処理について解説しています。表面処理の必要性や方法を分かりやすくまとめていますので、基板試作メーカーを比較検討する際の参考として活用してください。
基板表面には配線パターンとして金属回路が露出しており、そのままでは酸化などの影響によって状態が変化してしまい、実装不良を引き起こすリスクを高めます。そのため、基板を製作する過程で金属銅の酸化や錆を予防する処理として、銅表面に対するコーティング加工を行わなければなりません。
このような表面処理の方法には水溶性プリフラックスや半田レベラー処理、無電解金めっきといった種類があり、それぞれの製品仕様や実装条件などを考慮した上で適切なプランを選択することが必要です。
どのような表面処理を選択すべきかは、あらかじめ表面処理について基本を把握した上で、実装会社やEMS会社の担当部門とも相談しながら検討していきましょう。
水溶性プリフラックスは「水溶性プレフラックス」や「OSP」とも呼ばれる表面処理の方法です。
基板製造の工程において一般的に利用されている表面処理加工であり、低コストでありながら実装時の半田作業の影響を安定させられるといったメリットがあります。ただし、保管期限が比較的短く、推奨期間が3ヶ月という点には注意しなければなりません。そのため、水溶性プリフラックスを活用する場合は速やかに実装することが必要です。
また、推奨リフロー回数にも制限(2回)があり、表面処理と裏面処理とそれぞれ1回ずつの実装で完了する部品に適しています。
半田レベラー処理は、溶けた半田へ基板を浸漬塗布した上で、必要のない半田を熱風処理で吹き飛ばして除去する表面処理方法です。かつては鉛入りの半田が利用されていたものの、現代では環境や人体への影響を考慮して鉛フリーの半田が利用されています。
半田レベラー処理を行われた基板は推奨保管期限が約半年となっており、水溶性プリフラックスよりは高いものの、表面処理の中では安価といえるでしょう。また、推奨リフロー回数も最大4回となっており、加工に対する信頼性も高くなっています。
半田レベラー処理は自動車製造関連の基板に採用されやすい表面処理方法です。
無電解ニッケルめっきへ置換金めっきを施し、基板の金属銅の表面に合金層(Cu-Ni-Au)を構築させます。なお、ニッケルめっき層に対して金めっき層はとても薄くなっており、ニッケルめっき層の色によって白みがかった金色に見えることも特徴です。
無電解金めっきによって表面処理された基板の推奨保管期限は半年(6ヶ月)で半田レベラー処理と同程度になっており、推奨リフロー回数もまた4回です。
ただし、無電解金めっきは半田との相性が良く、表面の平滑度が高いために小さな表層部品を量産する際などに活用されます。
無電解ニッケルめっきの上に、電気めっきで金めっきを析出させる表面処理が電解金めっきです。金めっき層の厚みが無電解金めっきの場合よりも厚くなるため、「厚金」と呼ばれることもあります。また、使用する金めっきが多いことからコスト面で最も高価な表面処理になっていることも特徴です。
厚みがあって表面が硬くなる電解金めっきは、何度も抜き差しされる端子など、耐久性や防錆性を求められる製品や部品に対して利用されます。反面、電解金めっきは半田の濡れ性があまり高くなく、部品実装には適していないこともポイントです。
基板製造に用いる表面処理の方法には、上記の他にも特殊な方法がいくつもあり、メーカーや基板試作会社などによって独自の加工技術を研究していることもあります。また、複数の表面処理加工を組み合わせることで、それぞれのメリットを活かして一層に高機能の表面処理を求めることもあるでしょう。
どのような表面処理を選択するかは基板の仕様や用途を把握した上で検討しなければならず、適切な表面処理を行えるようにしっかりと比較検討することが大切です。
基板の設計、製造、実装の3つに対応するとともに、一貫した製品・サービスの提供と顧客満足向上を実現するISO9001と環境にも配慮したISO14001を取得している3社を紹介します(2021年7月時点)。
コスパを求めるなら
【主な対応基板】
その他の対応基板
放熱基板、銅インレイ基板、アルミ基板、リジットFPC、高周波基板、大型基板、セラミック基板、IVH基板、フレキシブル基板
実績を求めるなら
【主な対応基板】
その他の対応基板
リジットFPC、高周波基板、銅ペースト穴埋め基板、バンプ基板、IVH基板、フレキシブル基板、複合導体厚基板、薄物基板
【選定基準】基板の設計、製造、実装の3つに対応するとともに、一貫した製品・サービスの提供と顧客満足向上を実現するISO9001と環境にも配慮したISO14001を取得している3社を紹介します。